今年のカンヌパルムドール 韓国映画parasite(기생충) &韓国で身分証なしで映画を見る方法
昨年のパルムドールは日本の是枝監督の「万引き家族(韓国タイトルは어느 가족=ある家族、このタイトルも深い…)」でしたが、今年のパルムドールは봉준호(ポンジュノ)監督の「기생충(寄生虫、英題はparasite)」でした!
韓国人監督初のパルムドールであり、また韓国社会をうまく凝縮し綿密な伏線で描かれた脚本が話題となり韓国でも大ヒットを記録しました🎬
(ちなみに韓国語ではパルムドールではなく황금종녀상=黃金棕櫚賞、パルムドール=黄金のナツメヤシというフランス語を韓国語に直したものだそうです)
(↑日本版ポスターはデザインがひどいのでぜひ検索してみてください🙃)
韓国では5月30日に公開されて、わたしが渡韓した頃には3ヶ月弱経っていたのですがギリギリ劇場で見ることができました!
わたしが寮に入る前に滞在した충무로(忠武路)は韓国映画発祥の地(といっても背景は複雑ですが…)として知られていて、地下鉄の駅にもたくさんの映画ポスターが飾られていました
今回は、その駅1番出口から出て目の前にある대한극장(大韓劇場)という映画館で見てきたのですが、受賞作ということもあってなんと6000ウォンでチケットを購入できました🎟
ちなみに、日本では映画を見るときの食べ物といえばポップコーンかチュロスあたりが一般的だと思いますが、韓国で映画といえばバター焼きイカがポップコーンに並ぶ人気です🦑
理由としては食べるときに音が出ない位しか思いつかないのですが…値段はポップコーンとあまり変わらないくらいで、足か胴体か選ばせてくれるお店が多いです!
韓国は前売り文化がかなり強いので映画を見るときは基本的にアプリで先にチケットを買う場合が多いですが、わたしはまだ外国人登録証が届いてなかったので認証ができず…劇場に直接行ってチケットを買うしかありませんでした(普通に旅行などで渡韓した場合も身分証はないですよね…)
でも買い方は本当にシンプル!まずチケットを売っている大きなパネルの機械の前に行って、見たい映画を選択、席を選択したらクレジットカードを機械に差し込んで会計、レシートが出てきたらそれがチケットになるのでそれを持って劇場へ!
韓国の映画チケットはこんなレシートっぽい感じです🧾
内容についてですが日本公開は来年の1月らしいのでネタバレはない程度ですが…
個人的にはもともとポンジュノ監督作品はかなり好きで、今回の作品もポンジュノ監督らしいブラックコメディと風刺が、強烈なキャラクターに込められているかなり良作だったと思います(netflix オリジナル作品okjaなどは有名なのでは…?)
カンヌでは満場一致の拍手を得た本作ですが、実は韓国ではヒットの裏で賛否両論に分かれていました。マイナス評価はこの映画の終わり方についてのものがほとんどなのですが…正直マイナス評価した人はポンジュノ監督の他作品は見ていないのかなぁ…と。(ラストは同監督の代表作「殺人の追憶」に似ていて、このラストの強いメッセージ性に殴られるために120分映画を見た、というくらい)
テーマとしては9月に日本でも公開されたジョーダンピール監督の「us」や、去年のパルムドール「万引き家族」同様格差社会や貧困が(これは裏ではなくあらすじを読めば明確に)テーマになっています
そんな中で主人公たちの貧しくもたくましい生活の中に韓国人なら誰でも共感できる要素が散りばめられているんです(わたしも後で解説を読んでみて知ったものもあり…)、そんなところもヒットの要因かなぁと思います
例えば
iptime:韓国でどこでも拾える無料wi-fi
짜파구리:韓国で定番の짜파게티(ジャパゲティ=インスタントジャージャー麺)と너구리(ノグリ=ちょっともっちり麺で海鮮だしのインスタントラーメン)を混ぜた、少し前に流行した麺
半地下の家:人口が密集しているソウルには安価に借りられるが生活条件はあまり良くない半地下の家が多々あります、そしてこれはこの作品においてはかなりの重要なポイント
などなど…
韓国の人々にとっては、このようなアイテムが生活の中でどんな立ち位置で、何を表現するために使われているかよくわかるので、映画の世界をよりリアルに感じられたのではないでしょうか…?
受賞スピーチでも監督自ら話していたように、「映画オタク」であるポンジュノ監督らしい、パルムドールでありながら強いエンターテイメント性も持つ、とても映画らしい映画です、ほんとにもう一度と言わず何度も見たい…
日本で公開されてもし見る機会があれば、上のワードも参考にぜひ韓国映画に触れてみてください!🎬